高付加価値の「和菓子」で売上3倍に 父から店を承継した真岡市の若き菓子職人・三宅正晃さんの挑戦

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  • Опубликовано: 27 фев 2024
  • 新型コロナウイルスや円安、資材の高騰などの影響で休業や廃業する企業が増える中、若い菓子職人の作る商品が消費者の心をとらえ売り上げが3倍に増えている和菓子店があります。
    今、SNS上で話題となっている真岡市の和菓子店、その人気の訳を取材しました。
    (Xのつぶやき)
    『今日は「普通のカステラ」か「訳ありカステラ」のどちらか選べます 訳ありだから安いと思ったら罠なので購入の際はお気をつけください」』
    「ふつうのカステラ」よりも「訳あり」の方が200円ほど割高ですが、その訳は…、カステラからひょっこり顔を出すかわいらしいヒヨコ。
    ヒヨコたちが中からカステラを食べてしまい、訳ありなのでしょうか?
    このつぶやき、実は真岡市の和菓子店「御菓子司 紅谷三宅」の2代目店主・三宅正晃さん(32)が1月29日、店のSNSに投稿したものです。
    ヒヨコは和菓子の練り切りでできていてもちろん食べられます。
    SNS上では、この投稿に10万を超える「いいね」のほか、「こんなん訳あり買うに決まってる」「訳ありに付加価値を付けるの逆転の発想やなぁ」などといったコメントが寄せられるほど話題となっています。
    「訳ありカステラ」を作った経緯とは…
    (紅谷三宅 三宅正晃さん)
    「訳ありの意味が逆だったら面白いんじゃないかと自分で思って。普通焼きあがった無傷のカステラに穴を空けるなんて考えられないけど、そこに面白みがあるんじゃないかと思ってやってみました。」
    当初は限定商品のつもりでしたが、店には普段の10倍にあたる100件以上の問い合わせがあったそうで、今後は、再び店頭での販売やオンラインでの販売を検討しているそうです。
    一人前の和菓子職人になるためには「餡炊き10年」などと言われるほど長い修業が必要とされる厳しい世界。
    三宅さんは都内の老舗で5年間修業し、9年前に父・正さんが開業した実家の和菓子店に戻ると和菓子の技術コンテストで23歳という年齢ながら日本一という称号を手にしました。
    しかし、店に立ちながら四季折々の季節感や花鳥風月といった和菓子の魅力が消費者に伝わらず、縁遠いものになっていると感じた三宅さん。
    悩んだ末に生み出されたのが伝統の枠を超えた動物をモチーフにした「練り切り」の和菓子たちでした。
    2018年ごろからSNSを使って色鮮やかな和菓子の画像を発信し続け、ネコの練り切り「ネコタマ」を投稿すると瞬く間にネコ好きの間で大人気に。
    (正晃さん)
    「コロナ禍で需要が低下する中、自分たちは仕事柄ペットも買えないので、ネコをモチーフにした和菓子を作ってみた」
    これが火付け役となりそこから柴犬やペンギンなど200種もの動物を形にして画像を投稿し続け、数を100セットに限りながら購入希望者に販売しました。
    (正晃さん)
    「何でもかんでも細かく作るんじゃなくて和菓子特有の簡略化したデザインでなおかつ上品なフォルム、そうゆう形でまとめてみて、それがお客様に思った以上に高評価を得て、今に至ります」
    あまりの可愛さにSNSのフォロワー数もたちまち増加。
    三宅さんは「購入したい」、「食べたい」と購買意欲をそそる高付加価値の商品を次々に生み出し、新たな市場の開拓に成功します。
    一方で、これまで手間のわりに値段が見合っていないと感じていた「練り切り」の販売価格を高付加価値をつけることで、およそ3倍にまで引き上げることにしました。
    (正晃さん)
    「「練り切り」という言葉自体、若い人が知らない方も多いので、和菓子のカテゴリーは細かく枝分かれしていて、そのうちの「練り切り」は和菓子の中では花形で。値段の割に結構手間がかかって大変という部分があってあまりお菓子屋さんで売っているところが少ない。」
    「結局手間がかかって作っても売れないというのが現状で。でもそれをどうしたら買ってもらえるか。やっと買ってもらえた時に食べておいしくなかったら意味がないので、結局見た目は飾りに過ぎなくて。本質は味、その部分をいかに突き詰めてお客様に価格相応の満足をしていただけるか、そこが勝負かと思います。」
    コロナ禍では人の集まるイベントが敬遠されましたが、ステイホームの時間が長引きネットからの注文にも対応。インターネットなどから商品の取引ができるECサイトも開設しました。
    今のフォロワー数はインスタグラムやXをあわせておよそ13万人にのぼります。
    県外からの客も増え店全体の売り上げはコロナ禍の3倍に。半数以上がSNSをきっかけとする客が占めうち8割以上が女性で、ギフトとして購入する方も目立つといいます。
    (正晃さん)
    「もちろん自分たちの価格は地元では高いほうなので、なかなか気に入っていただけない部分もあると思います。それでも一部の理解あるお客様に手に取ってもらえたらという思いで今こうして続いているので、本当にお客様には感謝しかないですね」
    今月(2月)22日は「ネコの日」ということもあり、全国から「ネコタマ」への注文が相次ぎました。
    丸みを帯びた上品なフォルムに仕上げられ三毛猫や黒猫など種類はできるだけ常時9つほど用意しているといいます。
    今年1月、三宅さんは高齢となった父・正さんから和菓子店の事業を引き継ぐことを決めました。
    (紅谷三宅を創業した父 三宅正さん)
    「やっぱりうれしいですね。私が築いたものを受け継いでくれるということでそれが一番うれしいことですね。心を込めてつくるということお客様が楽しんでよかったなと思える。お店、しつらえ、接客、そういうものを心がけてみなさんに幸せになってほしいお菓子をつくってほしですね」
    民間の調査会社東京商工リサーチ宇都宮支店によりますと、去年1年間に栃木県内で休業や廃業または解散した企業は662件と、前の年と比べて11件、率にして、1.6%増えています。
    2年連続の増加で新型コロナの5類移行で国からの支援策の縮小や原材料価格の高騰、経営者の高齢化などで経営難に陥った企業が増えたとみられます。
    「現状維持は低下と同じ」と言い切る三宅さん。時代をとらえたデザインと新しいアイデア、たゆまぬ努力で和菓子界に新風を巻き起こします。
    (正晃さん)
    「昔売れていたものが今は売れなくなっているので、それをどうやって新しい切り口を作って自分たちにしかできないものを作れるかっていうのが勝負になってくるので。常に自分たちの得意なことだけを長所を伸ばして伸ばして人気が出たら1番なんじゃないですかね」
    来月(3月)のひな祭りのほか、ホワイトデーで気持ちを伝える品として和菓子はいかがでしょうか。

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